スマホやパソコンで、色々と調べることのできる便利な世の中です。
ところが、不動産の価格については意外なところに落とし穴があるので要注意。
不動産を買いたいというご相談のお客様が、取引金額の参考として路線価図を持参して来られることがあります。購入を検討している土地の前面に、路線価が付けられており、これに数量を乗じた金額が、取引価格として適切だろうという話です。
不動産屋さんが間に入らないような隣地同士の不動産取引や、弁護士の先生から鑑定相談で、土地の価格の根拠資料として送って来られる資料に、路線価図が使われていることが結構あります。
ところが、この路線価図に記載されている路線価は、実勢価格とは異なりますので、このことを知らずに取引すると、交渉が上手くいかず、場合によっては損をする可能性があるので注意してください。
日本の土地価格制度は、少し複雑で、1物4価と言われています。
同じ土地であっても価格が4種類存在するのです。これには、根拠法や、税制に関する事情が関係しています。
土地には、
①地価公示の価格(ここでは公示価格と言います)
②相続税路線価
③固定資産税路線価
④実勢価格
の4価があると言われています。
①公示価格は、前回もお話した通り、皆が、自分の周辺の土地の価格がどのくらいの金額なのか、そして上がっているのか、下がっているのか、横ばいなのかという動向をお知らせすることを目的に公表されている価格になります。
②相続税路線価は、相続税の計算を目的に作成されているもので、本来は、税務職員の方が、利用できるように準備されていたものが、公表されるようになってからは、多くの人が知ることのできる状況になっております。
相続税は、時価以上の金額で評価して、実際より多く徴税してはいけませんので、緩衝地帯を設けて、公示価格を100とした場合、80を目安とするように閣議決定されております。
③固定資産税路線価も、固定資産税の計算を目的として作成されており、納税通知書に記載されている評価額の基礎資料にもなるのですが、相続税路線価と同じ理由で、公示価格を100とした場合、70を目安とするように固定資産評価基準で決められています。
①、②、③は、制度的に決まっている価格であるのに対して、④の実勢価格は、実際の不動産取引における価格です。
言わば、加工されていない生の状態であり、地域に精通している不動産屋さんが取引を通じて身に着けている肌感覚の金額です。公示価格と近いものの、生の価格であるため、違う時や場合があっても仕方ないという感じです。
したがって、不動産を売ったり、買ったりする際や、不動産を売るつもりはないけど相続した不動産の分割に関する話し合いの時には、相続税路線価を鵜呑みにするのではなく、公示価格、相続税路線価、固定資産税路線価、実勢価格の1物4価の仕組みを関係者全員が理解して、間違いのない物差しを選び、取引に臨むことが望ましいです。
路線価図等の資料が入手できても、念のため、不動産の専門家に考え方が間違ってないか確認することをお勧めします。
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